コラムのバックナンバー

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葉月(2019年08月)

 いよいよ夏本番ですね。
 戸外に出ると一瞬で汗が噴き出す暑い日には、喉越しのよいそうめんがぴったりです。
大人になるにつれ「よくこんなに面倒で大変なことをしてくれていたなぁ」と改めて親に感謝することは多いですが、
暑いさなかに麺を茹でる作業もそのひとつです。汗をふきふき大鍋で麺を茹でていた母親の姿を思い出しつつ、
ズボラな私は水でほぐすだけのタイプを買い物かごに入れるのでした。
 そうめんに欠かせないのがネギや生姜、大葉、ミョウガなどの薬味ですが、「薬味」とは元々は生薬のもつ効能を表す
医学用語でした。
生薬には酸味、苦味、甘味、辛味、鹹味(かん・しおからい)という五つの味とそれに応じた効能がありますが、この五つの味、
つまり五味が薬味と呼ばれるようになり、医食同源の考えのもと広く料理にも使われるようになったそうです。
 まだまだ続く夏を薬味たっぷりの麺類で乗り切りたいと思います。


文月(2019年07月)

7月10日は納豆の日だそうです。

におわなかったりタレ付きだったり黒豆だったり
ひきわりだったりとさまざまな種類のある納豆ですが、
子供のころ友達の家ではじめて見た藁納豆は衝撃でした。
近所の田んぼで見かけるような藁に納豆が包まれている!
びっくりして、帰るなり母親に買ってきて欲しいとねだったことを覚えています。

 納豆に含まれるビタミンKは骨へのカルシウムの取り込みを促したり、
カルシウムが尿に排泄されるのを抑えることで骨粗鬆症を予防します。
一方で血液が固まる時に必要な因子を活性化する働きも持つので
抗凝固剤ワーファリンを服用中の方は納豆は控えなければなりません。
近年、納豆菌を含んだ一般薬もあるので注意が必要です。
ご不明な点はお近く薬剤師までお問い合わせ下さい。

 薬味は何にするか、何回混ぜるかなど好みのわかれる納豆ですが、
400回混ぜると最も美味しいとの説もあるようです。
一度お試しになってはいかがでしょうか。


水無月(2019年06月)

 梅雨入りを前に早くも夏のような暑さが続いています。
楽しみにしていた庭の芍薬も、
いくつかのつぼみは開く前に枯れてしまいました。

 この時期、気をつけたいのが熱中症です。
熱中症とは脱水をきっかけに起こる体温調節障害で、
体温上昇、めまい、だるさ、けいれん、意識障害など
さまざまな症状を引き起こします。
体温調節機能が未熟で、
大人にくらべて地面からの照り返しを受けやすい子供や、
暑さを感じにくく汗をかきにくい高齢者はもちろん、
利尿作用をもつ一部の降圧薬や糖尿病薬などを
服用中の方は特に注意が必要です。
また、コーヒーなどのカフェインを多く含む飲み物や
アルコールも利尿作用によって脱水のリスクを増やすので
飲み過ぎは禁物です。

 エアコンや扇風機をうまく活用し、
バランスのとれた食事とこまめな水分補給を心がけましょう。



皐月(2019年05月)

 初夏の陽気にさそわれてドライブに出かけました。
立ち寄った公園では、ネモフィラが青いじゅうたんを
敷きつめたように丘をおおい、デイジーやチューリップ、
パンジー等が色とりどりに咲きみだれ、
春らしい光景に気持ちがはずみました。

 そんななか、花壇に植えられたポピーを見て
思わず葉の付き方を確認してしまうのは
薬剤師の職業病かもしれません。
ポピーと同じケシ属の植物のなかには、
麻薬の原料となるために栽培が禁止されている
ものがあり、その見分け方の一つが葉の茎への
付き方なのです。
アイスランドポピーやヒナゲシなどの園芸用のけしは
葉が茎を抱きこまずに付いていますが、
葉の付け根が茎を抱きこんでいる場合、
それは植えてはいけない不正なけしです。

 4月1日から6月30日まで県民参加による
不正大麻・けしクリーンアップ運動が行われています。
もし不正なけしを見つけたら、
すみやかに最寄りの保健所に連絡しましょう。


卯月(2019年04月)

 パイナップルを二ついただきました。
ジューシーな甘みと酸味が魅力のパイナップルは
大好きなくだものです。食いしんぼうっぷりを発揮して
一気に食べすすめたところ、胸焼けをおこし、
食べ過ぎたことを後悔したのでした。

 ところでパイナップルに薬として使われている成分が
含まれる事をご存知でしょうか。
パイナップルの果実や根茎にはタンパク質を分解する酵素
「ブロメライン」が含まれており、医療の場で壊死組織を分解、
除去して傷の治りをうながす塗り薬として使われています。

 パイナップルが食肉を柔らかくするのもブロメラインの働きによるものですが、
ブロメラインは熱に弱いため、パイナップルを料理に使う場合は
加熱加工された缶詰ではなく、果汁に肉を漬けたり、
生のまま肉料理にそえるのが良いようです。


弥生(2019年03月)

 長かった歯の治療がひと段落しました。
恥ずかしながら歯科とは歯が痛くなってから行くところ、
と思ってきた私にとって、今回の治療も気の重いものでしたが、
予防歯科が浸透している今の子供にとっては、
歯科はメンテナンスをするところで、
痛い事をされる怖い場所ではないそうです。

 ところで口の中の環境に大きな影響を与えているものとして
唾液があります。
唾液には食べ物を消化するだけでなく、
口の中をきれいにしたり、
虫歯を防ぐなど、さまざまな働きがあります。
そんな唾液は、加齢やストレス、
ある種の病気や薬の副作用などで
分泌量が減ることがあります。
医師、薬剤師に相談のうえ、特に問題がなければ、
よく噛んで食べる、舌を動かすなどに加えて唾液腺マッサージを試すのもひとつの方法です。
耳の下からあごにかけてマッサージする事で唾液分泌が促されます。

 口を見れば体の状態がわかる、と言われるほど、
口の中の健康が全身に影響を及ぼす事がわかってきました。
定期的に歯科受診し、健康な歯と体を手に入れましょう。


如月(2019年02月)

寒さに縮こまった身体をたっぷりとした湯船に沈めるのは
冬の楽しみのひとつです。
わが家では各種入浴剤を季節や気分で使いわけ、
ささやかな贅沢を味わっています。

 日本初の入浴剤「くすり湯 浴剤中将湯」は、
明治30年、婦人用漢方薬「中将湯」を元に作られました。
製造過程で不要になった生薬をたまたまお風呂に入れてみたところ、
あせもや冷えに効いたため製品化されたそうです。
 現在、入浴剤には生薬系や炭酸ガス系、保湿成分配合のもの等、
様々なものがあり、入浴効果を高めるだけでなく、
リラックス作用も期待されています。
用途に合わせて日々の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

なお、皮膚疾患のある方などはご注意ください。


睦月(2019年01月)

あけましておめでとうございます
本年もよろしくお願いします

歴史にうとい私ですが、聖徳太子や持統天皇を主人公にしたマンガの影響で、奈良には格別のロマンを感じています。
年末年始の帰省のおりに立ち寄った法隆寺や石舞台古墳では、マンガの内容以上の事はわからないながらも、
はるか昔の人々に思いをはせたのでした。

日本で最初の薬草採取「薬狩り」は、西暦611年、奈良・宇陀地方で行われました。
宮廷の人々が、薬にするために鹿を追ったり、菖蒲やよもぎを摘み取ったであろうこの辺りは、その後も薬の街として栄え、
日本最古の私設薬草園や、かつての薬問屋を改修した資料館があるそうです。
薬と関わりの深い奈良。「薬」をテーマに訪れてみてはいかがでしょうか。


P.M.MIHO