コラムのバックナンバー

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師走(2017年12月)

マラソン大会の応援に行って来ました。
大会に先立つイベントでは、関係企業の物販ブースが立ち並び、即席のストレッチ教室が開かれたりテーピング法を指南する一角があったり、
更には完走を願って祈祷を行う簡易の神社まであったりと、非ランナーの私にとっては目新しく、面白い光景でした。

そんな中、食卓に馴染みの深い梅干しがランナー達の補給食として装いも新たに売られていました。
現在、疲労は活性酸素によって細胞がダメージを受けた状態と考えられていますが、梅干しに豊富に含まれるクエン酸は、
このダメージを修復する回路を活性化し、疲労回復に役立つのだそうです。
クエン酸といえば、水垢を分解する作用や消臭・抗菌作用を持つ、大掃除にお役立ちの洗剤でもあります。
年末までの間、大掃除に精を出しつつ、疲れた時には梅干しを食べ、クエン酸のお世話になりたいと思います。
皆様、よいお年をお迎え下さい。


P.M.MIHO


霜月(2017年11月)

木々が赤や黄に色づき、朝、晩には肌寒さを感じるようになりました。
こうなって来ると、にわかに上昇するのが食卓の鍋率です。具材を鍋に放り込むだけの、簡単、熱々な鍋料理は、献立を考えるのが面倒な私の強い味方です。
鍋料理に欠かせない食材と言えばきのこですが、これらを食べる習慣は、古くは縄文時代に遡るそうです。
また、数あるきのこの内、薬効を持つものは、猪苓や茯苓、冬虫夏草、霊芝等、生薬として人々の健康に寄与して来ました。
生薬でなくても、椎茸やえのき茸等の身近なきのこは、低カロリーで食物繊維やビタミン、ミネラル、βグルカンを含む優れた食材です。
特に、カルシウムの吸収を助けて骨を丈夫にするビタミンDは、きのこと魚以外の食品には殆ど含まれていません。
ビタミンDは日光に当たる事で皮膚でも作られますが、紫外線量の少ない冬場は不足しがちとの事。
冬に向けて、更に鍋率を上げ、きのこもどんどん放り込みたいと思います。


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神無月(2017年10月)

 随分前、ダイエットを思い立ち、昼食のお弁当の代わりにりんごを食べていた時期があります。
休日を除いてほぼ毎日りんごを食べ続けている内に、段々と季節による味の違いがわかるようになり、丁度今頃から店頭に並ぶ、
甘酸っぱい果汁をたっぷり含んだ果実から、旬を感じるまでになったのでした。

 ところで、りんごにはビタミンCやカリウム、ポリフェノール、食物繊維等が含まれており、「一日一個のりんごで医者いらず」と
言われる程、栄養豊富ですが、その樹皮から発見されたフロリジンという物質を元に、糖尿病治療薬も開発されており、血液中の
余分な糖を尿中に排出するという新しい作用機序の薬で、現在6成分が流通しています。

数年に及んだお弁当-りんご置換ダイエットは、午後からの空腹のために夕食を爆発的に食べてしまうという事象を引き起こし、
完全な失敗に終わりました。ダイエットは、バランスの取れた食事と適度な運動が一番の近道です。皆様、真似をしないように
して下さい。

P.N.MIHO


長月(2017年09月)

お盆を過ぎ、朝夕は幾分か過ごしやすくなりました。
暑さが苦手で、夏の終わりを心待ちにしている私ではありますが、年に一度、この時ばかりは暑さも気にならない程、参加するのを楽しみにしている催しに、郡上おどりがあります。
郡上おどりは、岐阜県郡上市で7月中旬から約三十夜に渡って開催される盆踊りで、特にお盆の時期の4日間は、夜通し踊り続ける徹夜おどりとなります。
ライトアップされた八幡城や道行く人々の浴衣姿、お囃子や下駄の音に気分が盛り上がり、踊りの輪の中で、体力の限界まで楽しみます。

ところで、郡上市の市花であるこぶしは、開花直前の蕾から軸を抜いて陰干しすると「辛夷(しんい)」という生薬になります。
辛夷には、鎮静、鎮痛、抗炎症作用があり、頭痛や頭重感を伴う鼻炎、副鼻腔炎などに用いられます。
郡上おどりが好きなあまり、ここ数年、郡上市に訪れるのは日が暮れてからばかりになっています。いつか、こぶしの花の咲く頃に、ゆっくりと観光をしてみたいと思います。

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葉月(2017年08月)

スポーツジムに通っています、と言うと聞こえは良いのですが、楽なレッスンにだけ参加し、地道でキツい筋肉トレーニングをなおざりにした結果、
最近、腰と膝を痛めました。
現在、内服、外用剤で治療中ですが、痛みに対して使われるある種の薬に、紫外線によるアレルギー反応を起こす可能性がある事をご存知でしょうか?
皮膚に残った薬剤が紫外線と反応する事で起こる光アレルギー性接触皮膚炎は、通常の接触皮膚炎よりも症状が重く、治療に時間がかかるのが特徴です。
貼り薬の場合、薬を使用している間は、本体により紫外線が遮断されるため発症する事は殆どありませんが、中止後4週間は紫外線を避ける必要があります。
この反応を起こす紫外線はUVA波で、曇りの日でも照射され、窓ガラスも透過するので注意が必要です。
帽子や衣類、又はUVA波を防ぐ指標であるPA値が高く、同様の皮膚炎を起こす可能性のあるオキシベンゾンを含まない日焼け止め等を使って、上手に紫外線を防ぎましょう。
勿論、光アレルギー性接触皮膚炎を起こす可能性のない薬もありますので、心配な方は、医師、薬剤師にご相談下さい。


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文月(2017年07月)

今年の梅雨明けは、西日本では平年より遅れる可能性があるそうです。
「黴雨(ばいう)」が語源という説もある程、高温多湿でカビの生えやすいこの時期、増えて来るのが水虫の原因である白癬菌です。
白癬菌とは、爪や角質等に含まれるケラチンというタンパク質を栄養源とするカビで、温度15度以上、湿度70%以上になると急激に増え、
症状を現します。
水虫治療においては、痒みや水ぶくれ等の初期症状に気づいたら、すぐに皮膚科等の専門医を受診することが完治への近道です。
また、塗り薬を使用すると2週間程で症状が改善しますが、この段階では、まだ白癬菌は皮膚の中に残っているため、自己判断で治療を中止すると、
再発の原因となってしまいます。菌を完全に退治するためには、自覚症状がなくなっても、皮膚や角質が新しくなるまでは薬を塗り続ける事が大切です。
その際、一部に水虫の症状があれば、症状がない部分にも菌は確実に存在しています。特に医師の指示がない場合、軟膏やクリームであれば、
人差し指の先端から第一関節の長さを出した量を片足分として、足の縁も含め、両足にしっかり塗りましょう。
水虫を英語ではアスリートフットと言うそうです。運動家の皆さんもそうでない方も、足を清潔に保ち、快適な梅雨を過ごしましょう。


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水無月(2017年06月)

スナック菓子「カール」の全国販売中止がニュースとなり、この辺りのスーパーでも売り切れが続出しているそうです。
大人になってからは食べる事が少なくなりましたが、「カール」と言えば子供の頃のおやつの定番で、一袋を兄弟4人で仲良く分け合って食べた事が、
お菓子を取り分ける指先とそれぞれの前に置かれた皿を見守る兄弟達の真剣な眼差しと共に、懐かしく思い出されます。
ところで、「カール」の原料であるとうもろこしは、米、小麦と並んで世界三大穀物の一つであり、食用としてだけでなく、飼料や医療用基剤、また、
近年では再生可能エネルギーの原料として、私達の生活に馴染みの深い物ですが、「南蛮毛」という名の生薬としても、古くから使われていました。
とうもろこしの髭を乾燥させ、煎じて用いると、有効成分の硝酸カリウム等の働きにより、優れた利尿作用を現すそうです。
実にも勿論、炭水化物や食物繊維、ビタミン、ミネラル等の栄養素を豊富に含むとうもろこしは、これからが旬。存分に楽しもうと思います。


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皐月(2017年05月)

 先日、お伊勢さん菓子博に行って来ました。
朝5時に起床して、お腹はペコペコ、気合いは十分な状態で会場入りし、一日かけて、色々なお菓子を食べ回りました。
勿論、食べてばかりではなく、精巧に作られた飴細工や、お菓子にまつわる多くの展示も見学しましたが、
それによると、お菓子の始まりは、天皇の命により田道間守が常世の国から持ち帰った橘の果実、と言う説があるそうです。

 ジャムやマーマレードの材料として使用される事の多い橘ですが、これを含む柑橘類は、その皮を乾燥させれば、胃の調子を整えたり、
咳や痰を鎮める働きを持つ「橘皮(きっぴ)」又は「陳皮(ちんぴ)」と呼ばれる生薬にもなります。

 古代において、その常緑の葉や芳香により、不老不死の霊薬とされた橘と違い、お菓子は、美味しくもあり、カロリーも気になる悩ましい食べ物です。
買って帰ったお菓子を食べきった暁には、その分の節制を頑張ろうと思います。


卯月(2017年04月)

先日、梅まつりに行って来ました。
晴れた空の下、丁度、見頃を迎えた紅白の花から漂う豊かな香りと、
会場に据えられた売店に並ぶよもぎ餅に、一年ぶりの春を感じ、気持ちが浮き立ちました。

よもぎは、生薬名を「艾葉(がいよう)」と言い、体内の冷えを取り、出血を止める作用を持ち、
腹部の冷痛や慢性の下痢、鼻血や吐血、下血等に効果があるとされています。
また、古くから、煎じ薬や薬用酒、外用薬や入浴剤として、民間療法的にも使用されて来ました。

食用としても、食物繊維やクロロフィル、βカロテン等が豊富に含まれ、
その栄養価の高さは青汁の原料に使われる程だそうです。
おひたしや天ぷら、そしてデザートは勿論、よもぎ餅にして、春を堪能されてはいかがでしょうか。


弥生(2017年03月)

いよいよ本格的な花粉症シーズンとなりました。既に薬を飲み始めておられる方も多いかと思います。

 花粉症治療薬と言えば、効果と共に気になるのが副作用です。
代表的な副作用として眠気がありますが、それ以外に「インペアード・パフォーマンス」と呼ばれる、
自覚の出来ない集中力や判断力の低下が問題になっています。

花粉症治療に主として用いられる抗ヒスタミン薬は、体内でアレルギー症状を引き起こすヒスタミンという物質の働きを抑える事で症状を軽減します。
しかし、このヒスタミンは、脳内では、日中眠くならないようにしたり、学習能力や記憶力を高める等、重要な働きを担っています。
抗ヒスタミン薬による眠気やインペアード・パフォーマンスは、薬が脳に移行し、脳内でのヒスタミンの働きをブロックしてしまう事により起こるのです。

 花粉症治療薬の中には脳内へ移行しにくい物もあり、効き目や服用時間、副作用の現れ方によって、多くの選択肢があります。

如月(2017年02月)

毎年、この時期になると、ご近所からいただいた福寿草が黄色い花を咲かせ、寒さで縮こまった気持ちを明るくほぐしてくれます。
段々と日も長くなり、確実に春が近づいています。

 福寿草と同じキンポウゲ科の植物にトリカブトがあります。全草が有毒なトリカブトですが、
その塊根に特殊な加工を施して弱毒化すると「附子」という生薬になります。

東洋医学では、ときに、原料となる動植物や鉱物に、蒸す、煮る、炒める等の処理を加え、
特定の効果を高めたり、副作用を弱めたりする「修治(しゅうち)」と言われる作業が行われますが、
その背景には、自然界にある全ての物を食物=薬と考え、その色、香り、味、形を調え、
食べ合わせ等も考慮して養生するという、薬食同源の思想があります。
それによると、春は、物を収斂させる作用を持つ酸味を摂るのが良く、酸味の代表的な食品としては、酢、
梅、ヨーグルト、りんご、苺、レモン、オレンジ、トマト等があるそうです。

とは言え、食べ過ぎは禁物です。
食養生は節食こそが最大の補身と言われます。

バランスの良い食生活を心掛けましょう。


睦月(2017年01月)

本年もよろしくお願します
年末からお正月にかけて、年に一度と、浮かれ気分で好きなだけ飲み食いした結果、新年早々、胃薬を飲む羽目になりました。
若い頃は、胃に歯があるのでは、と言われる程の早食い、大食いでしたが、めっきり弱くなったものです。

ところで、数ある胃薬の中には、その苦みや香りで症状を改善する物がある事をご存知でしょうか。
苦味健胃薬、芳香性健胃薬と呼ばれる物がこれにあたり、独特の苦味や香りによって味覚や嗅覚を刺激し、消化管の運動や消化液の分泌を促して胃の働きを整えます。
そのため、これらを服用する時に、オブラートや一般の服薬ゼリーを使用すると、十分な効果が得られない可能性があるので注意が必要です。
この種の薬のエキス顆粒をお湯に溶かし、味や香りを十分に味わいながら服用すると、作用の鋭い生薬成分では血中濃度の急激な上昇が抑えられ、副作用の危険性が減る、とも言われていますので、
そのままで飲みにくい場合は、吐き気が強い等の例外を除き、100ml程度のお湯に溶かすのがお勧めです。