コラムのバックナンバー

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師走(2016年12月)

夜、空を見上げると、星が明るく輝いています。
冬に星が綺麗に見えるのは、冷たい空気には溶け込む水蒸気量が少なく、透明度が増す事が一因だそうですが、
同じ理由で、この時期気になるのがお肌の乾燥です。
乾燥した肌は健康な皮膚に比べてバリア機能が低下し、水分が逃げやすく、外からの刺激にも弱い状態になっています。
バリア機能を維持するためには保湿が必要ですが、意外に知られていないのが正しい保湿剤の使い方です。
特に医師の指示がない場合、軟膏やクリームの場合は人差し指の先から第一関節まで、ローション剤は一円玉大の量を
手のひら二枚分の面積の適量として、少なくとも一日二回、皺に沿って塗りましょう。
塗布後にティッシュを貼り付けても落ちない、又は皮膚がテカる事も、適量の目安となります。
お肌の曲がり角をとうに曲がった私も、面倒がらずに日々保湿に勤しみたいと思います。

どうぞ良いお年をお迎え下さい。


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霜月(2016年11月)

玄関先で、鼻をくすぐる良い香りを辿ると、庭の金木犀が満開になっていました。

汲み取り式トイレが主流だった子供の頃は、トイレの芳香剤と言えばキンモクセイで、
今でも、金木犀の香りに、ついトイレを連想してしまいますが、水洗式が普及し、また、臭いの元が
科学的に解明され、消臭技術が発達した今、この季節以外、殆ど嗅ぐ事は出来なくなりました。
久しぶりに嗅いだ花の香りは、甘く華やかで、秋の訪れを感じさせてくれました。
ところで、金木犀は生薬名を「桂花」と言い、精神をリラックスさせ、胃腸の働きを整え、
血行を良くすることで、低血圧の症状や不眠症などを改善させると言われています。

花を白ワインに漬けて作られた「桂花陳酒」で、秋の夜長を楽しんではいかがでしょうか。


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神無月(2016年10月)

 毎年10月17日から23日までは 「薬と健康の週間」です。
医薬品を正しく使用する事の大切さ、そのために薬剤師が果たす役割の大切さを、
一人でも多くの方に知っていただくため、ポスター掲示やイベントを開催しています。

 薬の処方は古代メソポタミアまで遡る事が出来ますが、では、薬剤師はいつ頃、誕生したか、ご存知でしょうか?
薬剤師の歴史は、1240年、シチリア島の皇帝フリードリッヒ2世が、薬事に関する「医薬分業」と「薬事監視」の二つの法律を定めた事から始まります。
これは、暗殺を恐れたフリードリッヒ2世が、処方箋を医師に書かせ、薬は医師の知らない薬剤師に調剤させて、毒薬が紛れ込んでいないかをチェックするためだったそうです。

 現在、薬剤師は、王様のためではなく、地域の皆様のため、かかりつけ薬剤師や健康サポート薬局等の活動に取り組んでいます。
薬や健康について、お近くの薬剤師に、お気軽にご相談下さい。


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長月(2016年09月)

照りつける太陽と、暑さを掻き立てるように鳴く蝉の声に、そろそろ飽き疲れてきたこの頃、一日の終わりに、無性にビールを飲みたくなる時があります。夏の始まりの開放感と共に味わうのは勿論ですが、この時期の怠惰な気分にも、やはり、ビールはぴったりに思えます。
 ところで、おつまみの定番と言えば枝豆ですが、枝豆にはタンパク質やビタミン類、カリウムや食物繊維等が豊富に含まれ、特に、タンパク質中のメチオニンというアミノ酸は、ビタミンB1、Cと共にアルコールの分解を促進し、肝臓の働きを助けるため、お酒のお供としては、栄養成分的に理にかなっているそうです。とは言え、高尿酸血症の原因となるプリン体も、多くはないにせよ含まれるとの事。お酒もおつまみも、程々が良いようです。

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葉月(2016年08月)

 いよいよオリンピックが開幕します。普段はあまりスポーツ中継を観ない私ですが、オリンピック選手の超人的な力量を眺めるのは、
やはり楽しいものです。
 ところで、オリンピックに限らず、スポーツ競技において国際的に取り組まれているのがアンチドーピングです。
最近では、ロシアの組織的な規則違反が問題となっていますが、故意ではなく、それと知らずに禁止物質を摂取してしまう事を「うっかりドーピング」と言うそうです。
 医療用医薬品や市販薬、サプリメントや健康食品の中には、禁止物質が含まれている場合があります。
風邪薬やアレルギーの薬、漢方薬や血圧の薬等、禁止物質の含まれる物は数多く、中には、海外通販で入手した、脂肪燃焼や痩身をうたったサプリメントが原因で資格停止処分となった事例も発生しています。
 心配な場合は、医師やスポーツファーマシストに必ず確認してください。


文月(2016年07月)

 先日、山歩きをして来ました。そぼ降る雨の中、息を切らして、汗にまみれながら急坂を行く道すがら、時折、百合が白い花を咲かせ、涼感を与えてくれました。
 美しい花と芳香で愛される百合ですが、元来は、薬用、食用の植物だそうです。オニユリやヤマユリの鱗茎は、漢方では百合(ひゃくごう)と呼ばれ、気を調えて精神を安定させたり、体液を増やして、特に呼吸器系の粘膜を潤す目的で用いられます。 また、生の物は、百合根としてお馴染みで、既に縄文時代から食されていた、という説もあるそうです。 
 百合根の旬は11月から3月との事。実際の栽培では、花に養分を取られないよう、蕾の内に摘み取られてしまうそうですが、今は山に咲く花を愛で、百合根がスーパーに並ぶ日を、楽しみに待ちたいと思います。


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水無月(2016年06月)

最近、面白い本を手に入れました。
世界の国々の人や生物、料理、文化等について、豊富なイラストで紹介された児童書で、眺めていると楽しい気持ちになります。
その中に、薬に関するこんな記述を見つけました。『ドイツは、アスピリンの開発者ホフマン博士の故郷である』。
 今でも広く使われているアスピリンですが、紀元前からの歴史がある事をご存知でしょうか。
古代ギリシャ・ローマ時代、鎮痛、抗炎症剤として柳の樹皮が使用されていましたが、アスピリンは、そこから分離された有効成分から、
強い胃腸障害の副作用を軽減し、世界で初めて人工合成された薬品だそうです。今では解熱消炎鎮痛剤としてだけではなく、低用量で、抗血小板凝集剤としても用いられています。
 市販薬も含め、およそ一世紀にわたり活躍しているアスピリンですが、その使用には注意が必要です。お困りの際は、是非、お近くの薬剤師までご相談下さい。


皐月(2016年05月)

子供の頃、5月5日の我が家の湯船には、菖蒲が浮いていました。
予め母から聞いてはいても、お風呂に草が、しかも束で入っている、という絵面は印象的で、浴室に充満する独特の香りと共に、記憶に刻まれています。
 菖蒲の香りの源は、アサロンやオイゲノールといった精油成分で、心身をリラックスさせるアロマテラピー効果があるそうです。
また、これらの成分により血行促進や疲労回復、腰痛、神経痛を和らげる効果も期待できるとされ、古くから民間療法として活用されて来ました。
 ところで、記憶と香りが結びつきやすいとは、よく言われる事ですが、その理由としては、嗅覚が、感情を司る大脳辺縁系に直結している事が挙げられ、
これは五感の中で嗅覚だけが持つ特徴だそうです。
 近頃、久しぶりに菖蒲湯に浸かりたい、と思うのは、もしかしたら、その爽やかな香りに付随した、楽しき子供時代を、懐かしく思い出したいからかもしれません。


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卯月(2016年04月)

 春めいた青い空と明るい日差しを背景に、出勤途中の桜並木の蕾が、大きく膨らみ始めました。
各地から開花宣言のニュースも届き、お祭り好きの私としては、折角ならば満開の桜を楽しみたい、と、開花状況や天気予報を眺めて、
わくわく、そわそわしています。
 桜は、鑑賞するだけでなく、花を桜湯に、葉を桜餅に利用する事が出来ますが、樹皮もまた、桜皮(オウヒ)という名の生薬として、
私達の身近な所で活躍しています。
主にヤマザクラやカスミザクラ等の樹皮を乾燥させた桜皮に含まれるフラバノン配糖体には、解毒作用や咳を鎮める作用があり、
古来より、食中毒や皮膚病、解熱、咳止めを目的に使われていました。また、漢方薬としても、特定の処方に配合されていますし、
抽出エキスは、鎮咳去痰薬として、急性気管支炎等に使用されています。
 桜は、その花の美しさ、儚さで、私達を存分に楽しませてくれますが、花が終わった後も、心を寄せたいと思います。


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弥生(2016年03月)

 先日、鳥羽に牡蠣を食べに行って来ました。
焼き牡蠣、牡蠣飯、牡蠣汁、ビール、と、たらふく飲み食いして来ましたが、実は、私が牡蠣を食べられるようになったのは、ここ数年の事です。
以前は、あの、他の貝類にはない、ぷっくりとした柔らかい身に怖じ気付き、苦手意識を持っていました。
 牡蠣の独特の見た目、食感の理由を調べてみると、彼らは、一旦、岩等に付着すると、殆ど一生動かず、筋肉の代わりに内臓が発達し、
身の9割を占めるからだそうです。
また、移動にエネルギーを使わない分、他の貝類に比べて、グリコーゲンやタウリン、アミノ酸等の栄養、旨味成分が大量に含まれるとの事で、成程、そう思って食べてみると、ジューシーで、なんだか元気になる気もします。
 ところで、冬の食材とされる真牡蠣の、最も美味しい時期をご存知でしょうか?広島大の研究により、真牡蠣の旨味成分は、産卵直前の3月から4月が最も多い、と言う事が証明されました。牡蠣好きの皆様は、是非。


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如月(2016年02月)

 あちらこちらに煌びやかなチョコレートが並ぶ、バレンタインシーズンが到来しました。
この時期、お店の特設会場には数々のチョコレートが並び、一大イベントが展開されます。
かく言う私も、例年、自分のために何種類ものチョコレートを買い込み、日々の楽しみとしています。
 ところでこのチョコレート、古代メキシコではトウモロコシ粉やバニラ、トウガラシ等を混ぜ、不老長寿の薬として用いられていました。それが欧州に渡り、苦味を打ち消すために砂糖や牛乳が加えられ、今の形となったそうです。
 不老長寿は叶いませんが、近年、チョコレート中のポリフェノール等による健康効果が注目されています。となれば、思う存分チョコレートが食べられる、と言いたいところですが、効果が示されているのは、あくまで原料のカカオ豆であり、また、カカオ豆にはカフェイン等、摂り過ぎに注意が必要な物質も含まれています。やはり、甘い誘惑に乗るのは程々にして、バランスの良い食生活を心がけたいものです。


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