コラムのバックナンバー

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師走(2014年12月)

 今年もあと少しになりました。
 今回は冬至の時に食べる「かぼちゃ」のお話をします。
 冬至にかぼちゃを食べる習慣は江戸時代からといわれています。
 かぼちゃは栄養価が高くビタミンAやカロチンを多く含み、風邪の予防に良いとされていますので
 風邪の流行るこの時期に食すのは理にかなっているようです。
 他にかぼちゃの中身は「黄色」をしていて邪気を払う色として信じられているので
 冬の厳しさを乗り切るために食べることになったとも言われています。
 また、最近はかぼちゃの種もパンプキンシードとしてパンやお菓子のトッピングに使われていますが、
 以前から「南瓜仁(ナンカニン)」と呼ばれる生薬で条虫、回虫の駆除に利用されていたようです。

 冬至の日にはかぼちゃを食べて柚子湯につかり、1年の疲れをとって新年に備えてください。
 では、良いお年をお迎えください。

                                       PN 柚子茶好き



霜月(2014年11月)

 11月にはいると朝の最低気温が10℃を下回る日がでてきます。1日の気温差が10度以上あると体調を崩しやすくなります。
また、空気が乾燥してきて、皮膚や粘膜の防御機能が低下するとウイルスや細菌の侵入を防げなくなってしまいます。
快適な室内の温度、湿度は、夏は25~28℃、55~65%、冬は18~22℃、45~60%とのことです。
 ウイルスは湿度50%以上で激減するといわれています。
肌に良い湿度は60~65%、ドライアイ予防には50%を切らないようにするとよいようです。
また逆に上がりすぎるとカビ、ダニの増殖につながるので70%はこえないことです。
上手に湿度のコントロールをしてこれからの冬期の健康管理をなさってください。
  
                            PN  乾燥肌





神無月(2014年09月)

 皆さんは秋の七草をご存じですか?
 万葉集で山上憶良が詠んだ次の2首の歌がその由来とされているとのことです。
 
 ・秋の野に 咲きたるを 指折りかき数ふれば 七種(ななくさ)の花
 ・萩の花 尾花 葛花 瞿麦(なでしこ)の花 姫部志(をみなへし) また藤袴 朝貌の花
 
 尾花はススキ、「朝貌の花」は諸説ありますが、桔梗(キキョウ)とする説が有力です。
 というわけで秋の七草の現在の名称は、オミナエシ(女郎花)、ススキ(尾花)、キキョウ(桔梗)、
 ナデシコ(撫子)、フジバカマ(藤袴)、クズ(葛)、ハギ(萩)です。
 春の七草と違い食べたりする風習はなく、鑑賞するためのものです。
 伊勢神宮の観月会(今年は9月8日)には、秋の七草がお供えされるそうです。
 そのままは食べませんが、キキョウ、クズは漢方処方の原料です。調べてみるとオミナエシは単味で
 生薬として用いることもあるとありました。
 秋の野に七草を探しにいかれてはいかがでしょう?

                                    PN  大和撫子


長月(2014年08月)

 もう少しすると田んぼのあぜ道を縁どる赤い花が見られます。
 その花、「彼岸花(ヒガンバナ)」は秋のお彼岸のころに開花することからそう呼ばれるようです。
 なぜ、彼岸花を田んぼのあぜ道に植えたかというとその有毒性や悪臭を利用して、モグラやネズミから
 田んぼを守っていたからとのことです。

 彼岸花は毒性の成分を含有しますが、地下茎から石蒜(せきさん)という生薬がとれ、利尿、去痰作用があります。
 また、3年前に発売されたアルツハイマー型認知症の治療薬は、ヒガンバナ科ガランサス属のマツユキソウ
 (別名 スノードロップ)の地下茎から単離された化合物がもととなってつくられました。

 現在、認知症の患者数は2012年で460万人をこえ、65歳以上の高齢者の15%にあたります。
 今後、益々高齢化が進む中、さらなる認知症の解明やその特効薬の開発が望まれます。

                                        PN  曼珠沙華



葉月(2014年08月)

 暑い日が続き、日々熱中症の報道がなされています。
 環境省の熱中症予防情報サイトで「暑さ指数(WBGT)」という言葉をみつけました。
 皆さんご存知でしたか?
 単純に気温だけでなく、湿度や日差しの違いも考慮して熱中症予防につなげています。
 温度で表示されますが、同じ気温でも湿度が高い状態では「暑さ指数」は高くなり熱中症の発生も多くなります。地域別の表示がでるので是非参考になさって熱中症予防に役立ててください。
 

 また、厚生労働省では、「健康のため水を飲もう」推進運動を唱えています。
 のどの渇きは脱水のはじまりなので、渇きを感じてから飲むのではなく感じる前に摂ることが大事です。
 水分が不足しやすい、就寝の前後、スポーツの最中、前後、また、飲酒中やその前後は特に気をつけましょう。

 水分補給は 早めに こまめに!
                                       PN 紫外線嫌い



文月(2014年07月)

 7月2日は雑節の1つで、「半夏生(はんげしょう)」という日です。
 梅雨の末期で、半夏(烏柄杓:カラスビシャク)という毒草が生える多湿で天候不順な頃とされます。
 この半夏は毒草といわれますが、「毒」は上手に使って「薬」となります。
 半夏はサトイモ科の植物でその塊茎を生薬の原料とします。
 吐き気を抑えたり、咳を鎮め痰をとる効果があるので漢方の処方に多く使われています。

 さて、半夏生は農家にとっては大事な節目の日とのことです。
 昔はこの日までに田植えを済ませ、天から毒気が降るといわれるこの日は井戸に蓋をしたとか。
 今もその風習は続いているのでしょうか?
 また、地域によってその日に食べるものがいろいろあるようです。
 奈良県香芝市周辺では、玄米の餅。近畿の一部地域では蛸。福井県大野市では焼き鯖。
 讃岐の農村では、うどん。(7月2日はうどんの日だそうです)
 皆さん何になさいますか?

                          PN 蛸好き


水無月(2014年05月)

 例年、6月は梅雨入りの時期ですが、「水の無い月」とは如何に?
この「無」は「な」と読みますが、「の」と同じで、「水な月」は「水の月」ということになり納得です。
「みなづき」と読む方が風流に感じますね。

 さて、気温と湿度の上がるこの時期、気を付けなければならないのが「食中毒」です。
厚生労働省の統計では、家庭での食中毒の発生件数は全体の1割程度となっていますが、
実際にはもっと多く発生していると推測されます。
食中毒の原因は、細菌やウイルスですが、予防の3原則は、「つけない」「増やさない」「やっつける」といわれています。
 「つけない」ためには、調理の前、生肉、魚を取り扱う前後、食卓に付く前、残った食品を扱う前の「手洗い」が重要です。
また、調理前の「肉、魚」と「野菜」と「分ける」こともポイントです。
 次に、「増やさない」ためには、低温で保存することです。多くの細菌は低温で増殖が停止します。
冷蔵庫の保存をおすすめしますが、細菌が死滅するわけではないので冷蔵庫を過信せず早めに食べましょう。
 最後の「やっつける」ですが、ほとんどの細菌やウイルスは加熱によって死滅しますので加熱して食べれば、ほぼ安心です。
ふきんやまな板、包丁などの殺菌もお忘れなく。


                                   PN 梅の実




皐月(2014年04月)

 新年度が始まり1か月たちました。そろそろ新生活にも慣れてみえた頃でしょうか?
暖かくなって、連休もあり、いよいよ行楽の季節ですね。
屋外で過ごされる時間が増えると思いますが、5月から紫外線の量が増えてきます。
年間では5月から8月が紫外線の多い季節です。
しっかり紫外線対策をしてお出かけください。
 日焼けというとたいしたことなさそうですが、日焼けは「やけど」と考えてください。
やけどの応急手当はすぐに冷やすことですが、水ぶくれになったり、広範囲なやけどなどは皮膚科の受診をおすすめします。
では、紫外線に気をつけて五月晴れの下、アウトドアをお楽しみください。

                          PN 日傘



卯月(2014年04月)

 4月8日は、お釈迦様誕生を祝う「花祭り」という日です。
イエスキリストのお誕生日はクリスマスとしてよく知られていますが、「花祭り」は意外と知られてないようです。
この日、お寺では花で飾った小堂(花御堂)に金属製の幼仏像を祭り、その仏像に甘茶をかけて祝います。
 甘茶とは砂糖入りのお茶というわけではなく、ユキノシタ科のアマチャやウリ科のアマチャヅルを煎じた飲料です。
麦茶に似た色をしていて、ちょっと甘くちょっと苦いとろりとした飲み物です。
ユキノシタ科のアマチャはガクアジサイの変種で、葉を乾燥させることによって甘みがでます。
生薬としては、抗アレルギー作用、歯周病に効果とありますが、その目的で使用されることは少ないようです。
各地のお寺で灌仏会として花祭りが行われています。
甘茶をお試しに行かれてはいかがですか?

                                     PN タンニン




弥生(2014年03月)

 3月になり、一雨ごとに暖かくなってきました。
 さて、3月6日は二十四節気の「啓蟄」(けいちつ)です。
 啓蟄とは、啓は「ひらく」、蟄は「土中で冬ごもりしている虫」の意味で、大地が暖まり冬眠していた虫が
穴からでてくるころという意味です。
確かに、最低気温も5度を下回らなくなり、平均気温が10度以上になるので虫も活動を開始するようで、
実際よく虫をみかけるようになります。
 
 虫といえば、今、マダニによって感染し重症な症状をひきおこすウイルスが問題になっています。
 マダニは、山や林などに生息しているダニとしてはやや大型の吸血生物です。血を吸う前は2,3mmですが、
吸血後は膨れて100倍にもなります。刺されるというより、咬みつかれるという状態です。
茂みや草むらに行かなければ、咬まれることはありません。
 行かれるときには、長袖長ズボンをおすすめします。マダニが生息していそうな場所から帰ったら体に
マダニがくっついていないかチェックをしましょう。
 これから、いよいよ行楽シーズンです。アウトドアを上手にお楽しみください。
     
                                     PN 花粉嫌い



如月(2014年02月)

 新しい年が始まりました。
 昨年は伊勢神宮の式年遷宮が行われ話題となりましたが、その翌年はおかげ年と呼ばれ特別なご利益がある年だそうです。
 さて、2月3日は節分でしたね。季節の変わり目には邪気(鬼)が生じると考えられ、それを追い払うための行事です。大豆をまくのは、穀物には生命力と魔除けの呪力がそなわっているという信仰からです。
炒り豆を使うのは豆が厄災を負って捨てられるため、そこから芽がでるのは良くないからとのことです。
 ご存知のとおり、大豆には良質の栄養素が多く含まれています。
たんぱく質、ビタミンB1、B2、E、イソフラボンなどいろいろありますが、レシチンという成分をご存知でしょうか?
大きな役割は「界面活性剤」としての働きです。水とも油とも仲良しなので、血管の内壁にこびりついたコレステロール(油)を溶かしやすくして血液中のコレステロール値を下げて動脈硬化を予防し、胆石を防ぐこともできます。
他にも、老化防止、脳細胞の活性化、美肌など期待されています。大豆と仲良くしましょう。
若返れるかも?です。
 
 ただ今、受験シーズンですが、受験生の皆さんに春が訪れることを願っています。

                                 PN 立春